うつろい

まるで統一感のない日常のエトセトラ。へっぽこ人生。

【映画】鑑定士と顔のない依頼人を観た!

愛とは・・・

観終わった後にまずそう思った。

どんでん返しとか、衝撃のラストで見方が変わるとか、予告編で言われていることは本当だが、見終わった直後は「愛とは・・・」としばらくそれ以外の感想が思い浮かばなかった。ブラピとマリオン・コティヤールの『マリアンヌ』を観た時と同じ感覚。そしてしばらく経つと考察サイトを検索し始める。『シャッターアイランド』を観た後もそうだったな。こういう映画は本編観る前に映画の予告編しか観てほしくない。下手にfilmarksを見たり、レビューブログをググらなくてよかったと心からそう思う。感想書いている自分が言うことではないけれど。

 

ざっくりなあらすじは、肖像画しか愛せない孤独なオークション鑑定士がファムファタールに出会っちゃうお話。

※以下ネタバレ含
普段はどんなジャンルであれ、老人が主人公の映画ってあんまり観ないのだけれど、これは観てしまったね。確かAmazonプライムで偶然おすすめされて予告編へ飛んでいって視聴という流れ。今ネトフリで探してみたらあったし…最近追加されたのかな?今はどっちもあるということでさいこう!

クレアは動く絵画
舞台はイギリスかしら、主人公のヴァージル・オールドマンの話し方がそれっぽい。調べてみたらイタリアっぽいのでまあ、ヨーロッパのどこかの町って設定ね。予告編で流れる音楽はクラシック、テンポの良いオークションのシーンに秘密の絵画コレクション。西洋絵画とTHE ヨーロッパ的な内装でとてもクラシカルでお洒落な世界、なのにちょっと変人。というか変態。そこがいい。美しいものに対する歪んだ感情が垣間見れる映画は人間臭くて好き。

予告編ではちょっとしか映らない壁の中の女性、クレア。本編ではしっかり出演しているが、初めて顔がはっきりアップで映った時、動く絵画のようだった。誰かが描いたオフィーリアのように美しい。裸も生々しくない。ヴァージルの肖像画コレクションを見ると、クレアが彼の理想の女性像なのは容易に予想できる。そしてクレアの屋敷の広いこと!一体何階建ての何LDKなのよ。屋根裏とか地下とかAとかUで表すのかな。10LDKAU的な。そんなことはおいといて、とにかく広くておしゃれ。ヨーロッパアンティークとシャビーシックと廃墟が一つ屋根の下にある。airbnbのリスティングにあったら是非訪れてみたい。

二度目の視聴には体力が要る
クレアに去られた後の時系列が謎。施設に入ってぐるぐるしているシーンと、プラハのカフェのシーンはどちらが先でどちらが後なんだろう。伏線がそこらじゅうに張られているので見返してみたら何かヒントがあるかもしれないけれど、もう一度見れるパワーがない…。1回目が衝撃だったので、もう一度見るには誰か初見の人と見るしかない。自分より戸惑う相手と一緒じゃないと冷静に見られない気がするからだ。

天才的な観察眼を持つ鑑定士なのにクレアの心は最後まで読めなかったヴァージル。

「いかなる贋作の中にも必ず本物が潜む」

これがこの映画のポイントになると思う。クレアは3人と共謀していたが、そこに愛がこれっぽっちもなかったとは言い切れない。偽装愛と本物の境界が非常に曖昧で最後まで謎が解けない、誰を主人公にするかによってストーリーがガラリと変わる。何が嘘で何が本当か。考えれば考えるほど正解がわからなくなるので、考えるのをやめる。人の気持ちに正しさも何もない。ジャンルはミステリーだけど、ドラマの方が近い気がする。

  • 西洋美術の世界に浸りたい
  • 心がざわつくストーリーが見たい
  • 普通の恋愛ものの気分じゃない

そんな気分の夜にみたい映画!

(予告編)


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